ドキュメンタリー・ドリーム・ショー ―山形in東京2024

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上映スケジュール

 

インターナショナル・コンペティション

『何も知らない夜』

YIDFF2023 ロバート&フランシス・フラハティ賞(⼤賞)

映画的技巧を駆使して語られる虚構の悲恋物語。背景にあるカースト制と社会の右傾化が浮かび上がる。2019年アジア千波万波で『夏が語ること』が上映され、今年のカンヌ映画祭で「All We Imagine as Light」がグランプリを受賞した新鋭が描く、インドの光と影。

 

監督:パヤル・カパーリヤー

作品データ:インド・フランス/2021年/ヒンディー語・ベンガル語/100分/DCP

 

 

『訪問、秘密の庭』

YIDFF2023 ⼭形市⻑賞(最優秀賞)

芸術の表舞台から姿を消した画家イサベル・サンタロ。姪である監督はその謎に迫ろうと老いた彼女にカメラを向けるがうまくいかない。撮る者と撮られる者の立場が逆転するスリリングな光景が見るものの心を捉える秀作。

 

監督:イレーネ・M・ボレゴ

作品データ:スペイン・ポルトガル/2022年/スペイン語/65分/DCP

 

 

『ある映画のための覚書』

YIDFF2023 優秀賞

『100 人の子供たちが列車を待っている』監督の新作。先住民族マプチェの土地アラウカニアに鉄道技師として赴任したある男の日記。男に扮した役者を中心に撮影隊がフレームの内外を自在に往来しつつ、植民地化の歴史と今も続く抑圧を描きだす。本作で監督は二度目の優秀賞を受賞。

監督:イグナシオ・アグエロ

作品データ:チリ・フランス/2022年/スベィン語・フランス語・マプチェ語/104分/DCP

 

 

『交差する声』

1977年にマリ人移民労働者らによって設立された晨業共同体ソマンキディ・クラ。パリの路上とソマンキディ村で記録されてきた膨大なアーカイブ素材が、その抵抗・帰還運動をよみがえらせ、アフリカの人々と大地が経験してきた近現代史を見つめる。

 

監督:ラファエル・グリゼー/プーパ・トゥーレ

作品データ:フランス・ドイツ・マリ/2022年/フランス語・ソニンケ語・プラール語・バンバラ語/123分/DCP

 

 

『三人の女たち』

カルパチア山脈にあるウクライナ ストゥジツヤ村に暮らす3人の女性たち。生物学者、郵便局員、農家……。この地に留まるか他国へ去るか選択を迫られる村で、彼女たちの確固とした生の営みが、移ろいゆく季節とともに重層的に編み上げられる。

 

監督:マキシム・メルニク

作品データ:ドイツ/2022年/ウクライナ語・ドイツ語/85分/DCP

 

 

『ホワット・アバウト・チャイナ?』

中国文明の起源と共通の伝承で繋がる中国南東部の村々で1993~94年に撮影したHi8ビデオ映像を、「調和」をキーワードに編み直す。古代の歌謡、水墨画や自叙伝そして哲学的な考察を語る複数の「私」の声が重なり、何が、どのように消えてゆこうとしているのか、と見るものを新たな思考へ誘う。

 

監督:トリン・T・ミンハ

作品データ:アメリカ・中国/2022年/英語/135分/DCP

 

 

『ターミナル』

アルゼンチン・コルドパの労働者と学生を連ぶバスが行き交うターミナル。人々の姿、流れる光を捉えた繊細なショットに、愛についての追憶のことばが菫なる。絶えず何かが現れ、消えていくその場所にある痕跡は、人々の痛みであり、恐怖であり、希望を映しだす。

 

監督:グスタボ・フォンタン

作品データ:アルゼンチン/2023年/スペイン語/62分/DCP

 

 

『紫の家の物語』

YIDFF優秀作「祖国―イラク零年』監督新作。画家である妻とレバノンにある紫の家で暮らしたコロナ禍の日常を描く。猫たちと、絵を描き続ける静かな日々。テレビには小津やタルコフスキーらの映画のー場面。崩壊する世界とそこに芸術が存在する意義に迫る。

 

監督:アッバース・ファーディル

作品データ:レバノン・イラク・フランス/2022年/アラビア語/184分/DCP

 

 

『日々“hibi”AUG』

作者が設定したルールに則り15年にわたり撮影、編集されたショットの集積。「未知を発見する装置」としての映像メディアが、見る者の記憶を呼び覚まし、意味から解き放ち、新たに記憶を紡ぐ。

 

監督:前田真二郎

作品データ:日本/2022年/日本語/120分/DCP

 

 

『アンヘル69』

2016年の政府と反政府左翼ゲリラ間の和平合意は儚く、未だ確固たる将来は見えないコロンビアのメデジン。監督は同世代のクイア・コミュニティの友人たちと、夢、恐怖への葛藤を回想し、ボ
ーダレスでジェンダーレスなトランス・フィルムの制作を試みる。

 

監督:テオ・モントーヤ

作品データ:コロンビア・ルーマニア・フランス・ドイツ/2022年/スペイン語/75分/DCP

 

 

アジア千波万波

『負け戦でも』

YIDFF2023 アジア千波万波 小川紳介賞

檻のような部屋の中で、希望の見えない未来に打ちひしがれながらも、ヤンゴンの若者たちは絵を描き、楽器を弾き、叫ぶ『負け戦でも』。

 

監督:匿名

作品データ:ミャンマー/2023/ビルマ語/DCP/23分

 

 

『鳥が飛び立つとき』

ひとりの青年の心を諦めの気持ちが支配しだした時、友人のひと言でカメラをまわし始めた。

 

監督:匿名

作品データ:ミャンマー/2021/ビルマ語/DCP/28分

 

 

 

『ベイルートの失われた心と夢』

YIDFF2023 アジア千波万波 奨励賞

幻影のように、失ったものたちを語る声がひっそりと聞こえてくる。ベイルートに住まう人たちが営む日常のあちらこちらに、死者の思念が宿る。

 

監督:マーヤ・アブドゥル゠マラク

作品データ:フランス/2023年/アラビア語/36分/DCP

 

 

『確かめたい春の出会い』

春の陽光に誘われるように小さな旅をする。

 

監督:タイムール・ブーロス

作品データ:レバノン・ポルトガル・ハンガリー/2022年/フランス語/25分/DCP

 

 

 

 

『列車が消えた日』

YIDFF2023 アジア千波万波 奨励賞

列車乗務員の仕事を辞め、僧侶になると決めた男が列車で向かった先に……。現実が夢に、夢がまた未来の現実に、それは誰のものなのか、誰がみているのか、誰の体験なのか。喪失と再生のエクスペリメンタル・ジャーニー。

 

監督:沈蕊蘭(シェン・ルイラン)

作品データ:中国・シンガポール/2022年/中国語/DCP/73分

 

 

『我が理想の国』

YIDFF2023 市民賞

イスラム教徒排斥につながる政府法案に抗議し、当局に激しく押さえ込まれる学生たち。イスラム教徒が住む街で声をあげる女性たち。監督は多様な人々の声を聞き、自らを見つめていく。

 

監督::ノウシーン・ハーン

作品データ:インド/2023年/ヒンディー語・英語/74分/DCP

 

 

『それはとにかくまぶしい』

2020年4月。家族で過ごす日々の中にある小さな煌めきは、生と死、受け継がれていく命の愛お
しさへと辿り着く。

 

監督::波田野州平

作品データ:日本/2023年/日本語/18分/Blu-ray

 

 

『旅のあとの記録』

気ままな旅のシネ・エッセイ。

 

監督::波田野州平

作品データ:日本/2018年/日本語/16分/Blu-ray

 

 

 

 

『影の由来』

元兵士の記憶を手がかりに紡がれる映画詩。

 

監督:波田野州平

作品データ:日本/2017年/日本語/27分/Blu-ray

 

 

 

 

『ルオルオの青春』

10代の日記や写真を手繰るルオルオ。家事をこなしながら、父や孫の世話を焼きながら、日記の
ようにカメラを回し続ける。新型コロナウイルスへの怖れで引きこもっていた家には、家族への愛情と表現の喜びが溢れだす。

 

監督:洛洛(ルオルオ)

作品データ:中国/2023年/中国語(四川方言)/93分/DCP

 

 

『またたく光』

インド・ミャンマー国境にあるナガの村トラに、電気がやってくる。しかし反政府勢力による経済
封鎖で工事は難航し、村人たちは電気がないクリスマスを祝い続ける。やっと灯った光は、村人た
ちの人生をどう変えるのか?

 

監督::アヌパマ・スリーニヴァサン、アニルバン・ダッタ

作品データ:インド/2023年/タンクル語/90分/DCP

 

 

『ナイト・ウォーク』

小川のせせらぎが詩的な情感をあおって夜の散歩に誘う。青い月明かりがほのかに照らす坂道の、どこにも人影は見つけられない。しかし冷ややかで時が止まったかのような夜の情景は、昼の熱気や季節の移ろいを逆照射する。

 

監督:ソン・グヨン

作品データ:韓国/2023年/サイレント/65分/DCP

 

 

『石が語るまで』

済州4・3事件。多くの島民の命が奪われ、20歳前後の多くの若者が無実の罪で刑務所に送られた。70年が経ち、90歳を過ぎた5名の女性は、名誉回復のための再審裁判をきっかけに、重い口を開き当時の悲劇を語り始める。

 

監督:キム・ギョンマン

作品データ:韓国/2022年/韓国語/100分/DCP

 

 

『ここではないどこか』

オバマ政権時の政策で、「不法移民」状態にケリがつくはずだった。こうなった経緯をさかのぼる
ように、監督は祖母の故郷の記憶から旅を始める。アメリカの、フィリピンの、その先に向かう、極私的ロード・ムービー。

 

監督::ミコ・レベレザ

作品データ:フィリピン/2023年/英語・タガログ語/96分/DCP

 

 

『平行世界』

YIDFF2023 日本映画監督協会賞

アスペルガー症候群の娘エロディとの12 年。時に根気良く寄り添い、隔てられては結び止めた母と娘のつながり。突然とめどなく溢れ出してしまうむきだしの感情を受け止め、創作のエネルギーと自立への歩みを見つめる。

 

監督:蕭美玲(シャオ・メイリン)

作品データ:台湾/2022年/中国語・台湾語・フランス語/177分/DCP

 

 

『記憶の再生』

エストニアの国境地帯にある村を訪れたインド人監督。その土地で出会った人々が見た夢、そして苦難の歴史を写し出し、インド・パキスタン分離独立で故郷を追われた祖父の姿を重ね、人間の業を浮き彫りにする。

 

監督::ヴァルン・トリカー

作品データ:エストニア/2023年/エストニア語・セト語・ヒンディー語・英語/70分/DCP

 

 

『GAMA』

沖縄戦で多くの住民が命を落とした自然洞窟ガマで、語り部の松永さんが当時の出来事を語る。その傍らに現れる女性の身体表現が、亡くなった魂と現代人の眼差しを体現する。「地下の記憶」を捉えてきた小田香作品。

 

監督::小田香

作品データ:日本/2023年/日本語/53分/DCP

 

 

『私はトンボ』

高校3 年生の監督は、大学修学能力試験(CSAT)に直面する友人と自らの姿を撮り始める。受験の失敗、孤独だった浪人時代、何かが変わると信じて入学した大学生活……。友人、そして自分を救うための切実な想いがカメラを通して描かれる。

 

監督:ホン・ダイェ

作品データ:韓国/2022年/韓国語/80分/DCP

 

 

『地の上、地の下』

ミャンマー北部カチン州のミッソンダム建設に長年声をあげ続ける地元の女性活動家とパンクロックバンド「BLAST」。彼らの連帯とアイデンティティ、エーヤワディー川が育む豊かな大地を守る長い戦いがゆるやかに描かれる。

 

監督::エミリー・ホン

作品データ:ミャンマー・アメリカ・タイ/2023年/ジンポー語・ビルマ語/86分/DCP

 

 

『壊された囁き』

創作に疲れた画家の老人は瓦礫から壊れた楽器を見つけてきては修理をしている。戦争によって心を傷めたさまざまな芸術家たちとの出会いは、傷ついた心を癒やし、色を失った世界に少しずつ彩りを戻していく。

 

監督:アミール・マスウード・ソヘイリー/アミール・アーサール・ソヘイリー

作品データ:シリア・イラン/2023年/アラビア語/63分/DCP

 

 

『ホームストーリー』

変革の波が起きるかに思えた2011年。シリアからカイロに身を寄せた監督は未完の映画──故郷ホムスの映画の原体験、若き日のシネクラブ──を記憶で再構築しながら、放置されたカイロの映画館の中へと分け入る。

 

監督::ニダール・アル・ディブス

作品データ:シリア・エジプト/2021年/アラビア語/69分/DCP

 

 

パレスティナ ―その土地と歩む

『モーゼからの権利証書』

イスラエル占領下、エルサレムへ向けて拡大し続ける入植地マアレ・アドミム。監督はビデオ日記の体裁で、いとも簡単に住居を破壊され土地を奪われる人々の姿を記録する。

 

監督:アッザ・エル・ハサン

作品データ:パレスティナ/1998年/アラビア語・英語/30分/Blu-ray

 

 

『ニュースタイム』

パレスティナ人がニュース素材とみなされる現状に抗い身の回りの人々にカメラを向けた監督“ありきたりの日常”を捉えた。

 

監督:アッザ・エル・ハサン

作品データ:パレスティナ/2001年/アラビア語/52分/Blu-ray

 

 

『私たちは距離を測ることから始めた』

マドリッド=オスロ、ガザ=エルサレム…。都市間の距離を提示することで喚起されるその土地のイメージ。気鋭のアーティストによる、個人の主観的経験に基づき歴史、政治を表象する映画的試みは、同時に特定の文脈における意味づけから言葉を解放する実験でもある。

 

監督:バスマ・アルシャリーフ

作品データ:パレスティナ・エジプト/2009年/アラビア語/19分/Blu-ray

 

 

『採集する人々』

パレスティナの人々の生活に根付いた野草採集は、イスラエル政府により違法化された。自然とともに育まれた食文化のみならず、尊厳ある暮らしをも奪おうとする占領を生き抜く人々を独自の映画的表現で描く。東京初上映。

 

監督:ジュマーナ・マンナーア

作品データ:パレスティナ/2022年/アラビア語・ヘブライ語/64分/DCP

提供:本庄からパレスチナへの会

 

 

『石の賛美歌』

男女の再会を描くフィクションとパレスティナの現状を捉えたドキュメンタリー。二つの映画的手
法を並置することで浮か上がる占領下パレスティナに生きる人々の痛みと苦悩。

 

監督:ミシェル・クレフィ

作品データ:ベルギー/1990年/アラビア語/35mm/105分

 

 

『ガリレアの婚礼』

イスラエル軍によりパレスティナの土地の接収が続くナザレの村。夜間外出禁止令が敷かれるなか村長は息子の結婚式を行うため軍政官とある取引をするが、そのことが思わぬ事態を招く。のちに山形の常連となる監督による初長編劇映画。87年カンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。

 

監督:ミシェル・クレフィ

作品データ:ベルギー・フランス/1987年/アラビア語・ヘブライ語・トルコ語/116分/35mm

 

 

 YIDFF2023 特集上映より

『Oasis』

「日本プログラム」より。アーティストの舞と自転車ビルダーの林太郎は自転車で都市を縫って走る。高架下の川、溝に生える蔦、解体工事中の都営住宅……移動しながら、心に引っかかったものを写真に収めていく小さな物語。三宅唱作品などで映画編集者として活躍する大川景子監督作。

 

監督:大川景子

作品データ:日本/2022年/日本語/57分/DCP

 

 

イヴ=マリー・マエ監督『若き映画』

「Double Shadows/二重の影」より。1965年から1983年にかけて南仏のイエールで開催され、忘れ去られた伝説の映画祭「若き映画」についてのアーカイブ・ドキュメンタリーを上映。シャンタル・アケルマン、レオス・カラックスなどを上映し映画史に刻んだが、創設の理念を見失い、カンヌの監督週間に押されながら突然姿を消した。

 

監督:イヴ゠マリー・マエ

作品データ:フランス/2023年/フランス/72分/Blu-ray

 

 

『風が肉体を破壊する』

グローバルに活動する「帝国」の支配下のディストピア。「役立たず」とみなされ社会的弱者であ
る追放者たちが、次第に現代における俗講僧のように声を発し、現実と「素晴らしい未来」という
幻想を解体していく。アート界でも活躍する、コンペ審査員、陳界仁の新作映像作品。

 

監督:陳界仁(チェン・ジエレン)

作品データ:台湾/2022年-2023年/中国語・客家語・台湾語/69分/DCP

 

 

 

上映期間 10/19(土)~11/8(金)
上映時間 作品案内参照
当日料金 一般:1,600円/大学・高校:1,400円/シニア:1,200円/障がい者:1,000円
特別鑑賞券 3回券:3,600円(数量限定) ※WEB予約ではご利用いただけません。
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