ドキュメンタリー・ドリーム・ショー ―山形in東京 2022―

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上映スケジュール

 

インターナショナル・コンペティションより

『カマグロガ』

YIDFF2021 山形市長賞

バレンシア地方で、古代エジプト時代から食用にされてきたタイガーナッツを代々生産してきた農家。家族で農作業を続ける姿を1年間丁寧に追った。時代の流れに抗いながら土を耕し続ける農家としての矜恃が、土地の歴史とともに伝わってくる。

監督:アルフォンソ・アマドル

作品データ:スペイン/2020/カタルーニャ語/Blu-ray/111分

 

 

『最初の54年間──軍事占領の簡易マニュアル』

YIDFF2021 審査員特別賞

イスラエルがパレスティナのガザとヨルダン川西岸を軍事占領する手法を、軍事マニュアル形式で詳らかする。監督が理事を務めるNGO「Breaking the Silence」が集めた元イスラエル兵の証言で構成し、軍事的論理がはびこる日常に警鐘を鳴らす。

監督:アヴィ・モグラビ

作品データ:フランス、フィンランド、イスラエル、ドイツ/2021/ヘブライ語、英語/Blu-ray/110分

 

 

『ナイト・ショット』

YIDFF2021 優秀賞

8年前に、自身が被ったレイプ事件は加害者の容疑否認のまま不起訴となり、被害者の心身をさらに傷つけるような警察や医療機関に対する不信感だけが残された。映画学校の学生だった監督は、事件後も日記のようにカメラを廻す。性暴力を受けた心身をどう生きるのか、出口の見えない旅を始めた監督の到着地に見る者もともに立ち会う。

監督:カロリーナ・モスコソ・ブリセーニョ

作品データ:チリ/2019/スペイン語/Blu-ray/80分

 

 

『発見の年』

コロンブスのアメリカ大陸到達から500年を記念し、オリンピック、万博が開催された1992年のスペイン。祭典の裏で、社会はグローバル化の波を受け経済危機に陥っていた。当時デモに参加した労働者たちの語りと、生活に喘ぐ現代の若者たちの会話とが交錯する煙たいバルを撮影。緻密に構成された2分割画面に争議の生々しいアーカイヴ映像が挿入され、時を行き交いながら国家の成功神話に抗う。

監督:ルイス・ロペス・カラスコ

作品データ:スペイン/2020/スペイン語/Blu-ray/200分

 

『光の消える前に』

1970年代のモロッコでは、芸術家たちによる前衛的な表現活動が盛んだった。しかしこれらの運動は当局により弾圧され、記憶から消されてしまった。発見された当時の映画の映像を中心に、存在すら消された芸術家たちへ熱いオマージュを捧げる。

監督:アリ・エッサフィ

作品データ:モロッコ、フランス/2020/アラビア語、フランス語/Blu-ray/70分

 

『彼女の名はエウローぺだった』

家畜化された牛の先祖にあたる、絶滅した野生種オーロックス。この種を交配によって復活させようする試みが行われてきた。1920年代のドイツで復元の研究を行った動物学者の著作をたどりながら、新たな交配の試みや遺伝子研究の様子を追い、監督は新たな神話を物語ろうとする。

監督:アニア・ドルニーデン、フアン・ダビド・ゴンサレス・モンロイ

作品データ:ドイツ/2020/英語/Blu-ray/76分

 

 

『ミゲルの戦争』

監督の友人ミゲルは、セクシュアリティを公言し海外で自由に生きるインテリである。撮影を快諾したものの監督の問いを巧みにかわし、なかなか素顔を見せようとしない。レバノンでの内戦、宗教、家族、愛──心に秘めた「戦争」をめぐる、二人の「精神浄化の旅」。

監督:エリアーン・ラヘブ

作品データ:レバノン、スペイン、ドイツ/2021/アラビア語、スペイン語、英語、フランス
語/Blu-ray/128分

 

 

『核家族』

核戦争のイメージにさいなまれてきた映画監督が、家族を連れ、アメリカで核実験が行われた場所をめぐる。その想像力は、やがて長崎や福島にも及ぶ。核実験のアーカイヴ映像とサン・ラ・アーケストラの奏でる「ニュークリア・ウォー」が挿入され、人類と核の歴史、反復される暴力が問い直される。

監督:エリン・ウィルカーソン、トラヴィス・ウィルカーソン

作品データ:アメリカ、シンガポール/2021/英語/Blu-ray/93分

 

『ヌード・アット・ハート』

「踊り子」と呼ばれるストリップ劇場のダンサーは各地を巡り、楽屋で寝泊まりしながら10日ごとに次の土地へと移動する。舞台の袖で見せる素顔、楽屋での日常、ストリップに託す思い、家
族への愛情、すべてが一期一会の風景の一部として記録される。『Odoriko』(2020)の国際共同制作版。

監督:奥谷洋一郎

作品データ:日本、フランス/2021/日本語/DCP/106分

 

『自画像:47KMのおとぎ話』

ヤマガタでお馴染みの「47KM」と呼ばれる中国山間部の小さな村を舞台とした連作の最新作。撮影を開始してから10年目を迎えるこの冬、村には新しい建物がつくられようとしていた。子どもたちはその「青い家」がどんなふうになったらいいかを想像し、絵に描く。少女たちはカメラを廻し、自分たちの村の姿を記録し始める。

監督:章梦奇(ジャン・モンチー) 

作品データ:中国/2021/中国語(湖北方言)/Blu-ray/109分

 

 

『私を見守って』

インドではまだ広く認知されていない在宅での緩和ケアに勤しむ医師、看護師、カウンセラーの女性3人組。助けを求める電話に応じてニューデリー中を駆けめぐる。大切な存在が目の前で日々衰弱してゆく現実を心穏やかに受け止められるよう家族と粘り強く対話を重ねる彼女たちの真摯な眼差しを、カメラは至近距離から捉える。

監督:ファリーダ・パチャ

作品データ:スイス、ドイツ、インド/2021/ヒンディー語/Blu-ray/92分

 

 

『Z32』

パレスティナ人警官がイスラエル軍に殺された事件に関与した元兵士。その彼が恋人と一緒にカメラに向かって証言する姿に、監督自身の姿を交錯させながら、イスラエル人のアイディンティティを問いかける。『最初の54年間』(YIDFF2021)監督作品。

監督:アヴィ・モグラビ

作品データ:イスラエル、フランス/2008/ヘブライ語/35mm/85分

 

 

『そこにとどまる人々』

シリアとの国境に近いレバノン北部。かつては異教徒が隣り合って暮らしていた自分たちの土地に、別れた妻子を待ちながらとどまり続ける男の日々を描く。『ミゲルの戦争』(YIDFF2021)監督作品。

監督:エリアーン・ラヘブ

作品データ:レバノン、アラブ首長国連邦/2016/アラビア語/Blu-ray/95分

 

 

 

アジア千波万波より

『リトル・パレスティナ』

YIDFF2021 小川紳介賞

監督自身が出身のシリアのヤルムーク・パレスティナ難民キャンプの2013年~15年の日常生活を描く。シリア情勢の悪化から道路は遮断され食料も底をつき、爆撃で命を落とす人も絶えない。人々はただ歩くしかない。

監督:アブダッラー・アル=ハティーブ 

作品データ:レバノン、フランス、カタール/2021/アラビア語/DCP/89分

 

 

『メークアップ・アーティスト』

YIDFF2021 奨励賞

メークアップ・アーティストの勉強をするため、大学に通うことを条件に結婚したミーナ。夫や義母の猛反対にもめげず、あの手この手で道を切り開き突き進み、次第に周囲も変わっていくかのように見えたが……。

監督:ジャファール・ナジャフィ

作品データ:イラン/2021/ペルシャ語/DCP/76分

 

 

『心の破片』

YIDFF2021 特別賞

監督自身が紛争と性暴力を語る。

監督:ナンキンサンウィン

作品データ:ミャンマー/2021/ビルマ語/DCP/13分

 

 

 

『エントロピー』

死にゆく炭鉱を実験的手法で記録した。

監督:張猷嵩(チャン・ヨウソン)

作品データ:ポーランド/2021/ダイアローグなし/DCP/10分

 

 

 

 

 

『それは竜のお話』

民話と旅が交錯する。

監督:タイムール・ブーロス

作品データ:レバノン、ハンガリー/2020/アラビア語/DCP/16分

 

 

 

 

『駆け込み宿』

出稼ぎ労働者のストライキを独創的に再現した中編。

監督:蘇育賢(スー・ユーシェン)

作品データ:台湾/2021/ヴェトナム語/DCP/54分

 

 

 

 

 

『夜明けに向かって』

「私の体は私の自由」。パキスタン各地で、2020年「オーラト・マーチ(女性の行進)」が決行された。監督もアクティビストの一人として、準備に参加しながらフェミニズムの今を克明に記
録しようとカメラを回し始める。

監督:アナム・アッバス 

作品データ:パキスタン、カナダ/2021/ウルドゥー語、英語/DCP/89分

 

 

『怖れと愛の狭間で』

2019年夏以降の香港の日常を生きる3人のアーティスト。監督も同じ表現者として、雨傘運動以来デモに参加してきた何百万のうちの3人の思いを聞きながら、自身の怖れを映像に託し、愛の言葉を紡ぐ。

監督:麥海珊(アンソン・マック)

作品データ:香港/2020/広東語/DCP/106分

 

 

 

『言語の向こうにあるもの』

パリ第8大学の「外国語としてのフランス語講座」の教室内。世界中から来た学生たちが、文学とジェンダーというふたつのテーマを通して、情熱溢れる教師との対話から気づきを得て学んでいく瞬間を、ユニークな語り口で切り取る。

監督:ニシノマドカ 

作品データ:フランス、日本/2019/フランス語、英語/DCP/97分

 

 

『炭鉱たそがれ』

2012年以降、中国淮南市の石炭産業は国のエネルギー政策の転換とともに終焉に向かう。炭鉱が与えたもの、奪ったものを、そこで生まれ育った監督が両親や友人らからこぼれる言葉、向けられる視線をとおして映し出す。

監督:陳俊華(チェン・ジュンホア)

作品データ:中国/2021/中国語/DCP/109分

 

 

『沈黙の情景』

メキシコの太平洋岸にある島。遠くマニラから泳ぎ着いた伝説の生物ショコイの目と耳を借り、廃墟にかつてあった営みを幻視し、響いていた声を蘇らせる。音と空間、過去と未来が交差し、時空を超えた旅へといざなう。

監督:ミコ・レベレザ、カロリーナ・フシリエル

作品データ:メキシコ、フィリピン、アルゼンチン、韓国/2021/英語、スペイン語/DCP /
70分

 

 

『蟻の蠢き』

チャイナテレコムを理由もなく突然解雇された元労働者たち。会社を相手に労働者の権利を訴え、監督やアーティストグループとともに写真、演劇、パフォーマンスなど、奇想天外な抗議行動を展開し、戦う。

監督:徐若涛(シュー・ルオタオ)、王楚禹(ワン・チューユー)

作品データ:中国/2019/中国語/DCP/120分 

 

 

『異国での生活から』

台湾に出稼ぎに来たヴェトナム人労働者タオ・ヴァンさんを長期取材した監督。過酷な労働や医療保障のない状態などから、雇用先を逃亡し、不法滞在で職業を転々として生活する外国人労働者の現実が描かれる。

監督:曾文珍(ツォン・ウェンチェン)

作品データ:台湾/2020/中国語/DCP/87分

 

 

『ルオルオの怖れ』

コロナ禍、不安でたまらないルオルオ。同居の90歳の父が書いた家族史や解放前後のこと、反右派闘争のことなどを傍で聞く。呉文光(ウー・ウェンガン)や章梦奇(ジャン・モンチー)、仲
間とオンラインで語らい、初めての映画を作り上げた。

監督:洛洛(ルオ・ルオ)

作品データ:中国/2020/中国語(四川方言)/DCP/85分

 

 

『ソウルの冬』

ある短編小説の読書記録をペンではなく、カメラを用いて書こうと試みた。

監督:ソン・グヨン

作品データ:韓国/2018/韓国語/DCP/25分

 

 

 

 

 

『駆け込み小屋』

廃材で作られた粗末な小屋が、多様な背景を持つ台湾のインドネシア人労働者で溢れ返っていく。

監督:蘇育賢(スー・ユーシェン)

作品データ:台湾/2018/インドネシア語/DCP/54分

 

 

 

 

『東北おんばのうた― つなみの浜辺で』

大船渡に生きるおんばたちの言葉を詩人・新井高子が聞く。啄木の短歌やおんばたち自身による詩歌が土地ことばで読み上げられると、歴史や感情の幾重もの層が立ちどころに表れる。過去と現在、歌と言葉の多重奏。

監督:鈴木余位

作品データ:日本/2020/日本語/DCP/80分

 

 

『午後の景色』

ソウルのある街の風景。ひとりの女性がカメラを持ってぶらぶらと歩く。風が吹き草木が揺れ、日が暮れていく。画面外からの音が印象的に聴こえる。『ソウルの冬』(YIDFF 2019)監督作品。

監督:ソン・グヨン

作品データ:韓国/2020/韓国語/DCP/73分

 

 

 

『ノー・データ・プラン』

「母さんは2つの電話を使っている」。母親を中心とした家族の物語を伏線に、複数のアメリカの声がかぶさっていく。監督が列車でロスからNYへ向かう間の映画という旅。『沈黙の情景』(YIDFF 2021)監督作品。

監督:ミコ・レベレザ

作品データ:フィリピン、アメリカ/2018/英語、タガログ語/DCP/70分

 

 

特別招待作品&ウクライナの異邦人、キラ・ムラートワ

『武漢、わたしはここにいる』

2020年1月、劇映画撮影のために武漢に入った監督とクルー。都市封鎖に遭遇した彼らは路上で撮影を始め、無料で物資提供するボランティア活動に携わり、奔走する。新型コロナウイルス感染症により根本から変わってしまった日常を照射する。

監督:蘭波(ラン・ボー)

作品データ:中国/2021/中国語/DCP/153分

 

 

『無気力症シンドローム』

抑圧された現実の中で人格が崩壊し、正常な人間が欠陥のある人間へと変貌していく様を描いた2つの物語。ペレストロイカ興隆期のソビエト社会のあり方を描いた荒涼としたフレスコ画で、世界映画史に残る傑作。日本では、約30年ぶりの上映。

監督:キラ・ムラートワ

作品データ:ソ連/1989/ロシア語/Blu-ray/153分

 

 

 

日本プログラムより

『BETWEEN YESTERDAY &TOMORROW Omnibus 2011/2016/2021』

企画者・前田真二郎による指示書を元に、4人の作家が5年毎に制作した「10年の時の流れ」の展開図。それぞれが昨日と明日を行き交い対峙した日々が、観る者を枷から解き放ち思考を促す。

企画:前田真二郎

監督:池田泰教、大木裕之、鈴木光、崟利子

作品データ:日本/2021/日本語/Blu-ray/64分

 

 

『私はおぼえている』

カメラを前に「おぼえていること」を語る10人の登場人物。戦前から現在まで、彼らが生まれ、育ち、働き、新しく家族を持ち、いまにいたる、それぞれの記憶の断片が鳥取の土地の記憶を伴い1本の映画となる。

監督:波田野州平

作品データ:日本/2021/日本語/Blu-ray/224分

 

 

 

上映期間 11/5(土)~11/18(金)
上映時間 作品案内参照
当日料金 一般・大学・高校:1,500円/シニア:1,000円
特別鑑賞券 3回券:3,300円 ※WEB予約ではご利用いただけません。
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